【レポート】10月烏丸企画「登場人物と暮らす」

こんにちは!花まる学習会王子小劇場の伊坂です!
カチコミ10月烏丸企画『登場人物と暮らす』が13日(土)・14日(日)の2日間にわたってココキタにて開催されました。
今日はそのレポートをお届けします!

今回の企画

今回の講師は辻本直樹さん(Nichecraft/関係舎)。
小道具スタッフとしてその名前をご存知の方も多いのではないでしょうか。

手前から2人目が辻本さん。すいません、笑っていたのでブレました。

烏丸さんが主宰する牡丹茶房も旗揚げ以来たびたびお世話になっているそうで、

↓こんな小道具や、
牡丹茶房『縋り雨』で使用された文庫本(提供:烏丸さん)

↓こんな小道具など、
room42『渦中の花』で使用されたツツジの面(提供・モデル:烏丸さん)

公演のニーズに合わせて多彩な小道具を製作していらっしゃいます。僕も色々な公演を観に行って「小道具凝ってるなぁ」と思ったら辻本さんだった、ということがよくあります。
が、今回のワークショップには小道具は一切登場しません!

辻本さんは小道具製作チーム・Nichecraft(ニッチクラフト)の代表であると同時に、上演を前提としない変則演劇ユニット・関係舎(かんけいしゃ)の代表でもあり、『登場人物と暮らす』は関係舎が開催している『架空のプレ稽古』という「上演を目的としない非公開の稽古企画」の“カチコミ”バージョンというワケです。

このワークショップ、僕は初めて見学させていただいたのですが、

・(通常の公演と同じように)シチュエーションと登場人物があらかじめ用意されていて、
・その場で配役を発表し、
・序盤のシーンから順に次の展開を知らされてエチュード(即興芝居)を行う

という内容で、2日ともその進行は同じなのですが、それぞれ別の演目が用意されていました。↓こんな感じです。

1日目:『ドライブイン居待月(仮)』
国道64号線沿いにある無人のドライブイン“居待月”に辿り着いてしまった人々の物語

2日目:『渡り鳥の便箋(仮)』
人口1200人弱の離島に訪れた映画の撮影チームと島民たちとの交流の物語

今回はカチコミバージョンとして、シチュエーションの設定と配役の決定を烏丸さんが担当しました。
ちなみにタイトルに(仮)と付いていますが、上演を前提としない作品だから、ずっと(仮)のままなのです。


・・・と、ざっくりとご紹介しましたが、ここからもう少し詳しく見ていきましょう。


13時に全員集合して、まずは通常の稽古と同様にウォームアップを行います。


自己紹介もシアターゲームも、難しくはないものの独特の内容で、しかも本編のエチュードへの補助線になるという、非常に興味深いものでした。

それから机を囲み、辻本さんからの概要説明タイム。しっかり時間を取って行います。
最初に伝えられたのは「登場人物と暮らす」ためのルール、とはいっても「演技論で争わない」「予知能力に目覚めない」など、俳優でない僕にもわかる簡単なルールでした。例えとして量子将棋が飛び出すなど思わずニヤリとしてしまう語り口で、参加者の皆さんもよく理解できたようです。
もう一つここで印象的だったのが、参加者からエチュードへの苦手意識についての発言が多く聞かれたことでした。たしかに台本がないって不安ですよね。


続いて本日の演目、シチュエーションと配役が発表されました。
たとえば1日目の『ドライブイン居待月(仮)』では「時間は日没前〜夜にかけて」「飲料の他に麺類やハンバーガーの自動販売機がある」「23時に自動でシャッターが下りる」などの設定があらかじめ与えられています。
また、登場人物については、この時点では「ロードバイクチームのリーダーと面接ライドに参加した初対面の人」「ドライブ中に道に迷ったカップルと乗り合わせた楽観的なヒッチハイカー」といった具合でそれぞれ文字にして一行程度の設定しか与えられていません。
参考になりそうな画像をタブレットで見たりしつつ、参加者から質問が出たことは全員で確認しておきます。

※今回、俳優の野村亮太さん(やまだのむら)と岸田大地さんに各日アシスタントとしてお手伝いいただいたのですが、設定についてはお二人とも何も知らない状態でご参加いただきました。

そしていよいよ最初のシーンから、エチュード開始!辻本さんのこだわりで、音楽がフェードアウトして始まります。


少々おそるおそる始まった様子でしたが、必要な情報は決められていて、それでいて不必要な制約はないため、意外とスムーズに会話が続いていきます。

ワンシーンごと、エチュードが終わるたびに全員で振り返ります。
シーン中に出てきた情報はその時点で確定、蓄積されて登場人物の属性や人物像が、だんだんと明らかになってきます。
この《稽古》には《演出家》はいないので、そうやって進んでいくのです。
確認ができたら、次のシーンへ。

設定上の時間が夕方から夜へ(1日目)、夏から冬へ(2日目)と進み、物語も進んでいきます。一本のお芝居の、重要なシーンを抜粋して観ているような感覚です。
最初に辻本さんから話があった通り、「不自由な状態」から「その人物がすること/しないことがわかる状態」になってきたようです。


で、ここまで黙っていましたが、なんとこのエチュード、1シーン10分間も止めずに続くんです。
長い!と思うじゃないですか。でも全然、どの登場人物もその関係の中で自然に行動して密度の高い会話劇が繰り広げられて、物語が豊かに膨らんでいくのを目の当たりにしました。全員で丁寧に確認しながら進めていくから可能なんでしょうね。

また、シーン自体はあらかじめ決められていても、その中での展開は想像をはるかに越えてきます。
特筆すべきは2日目、参加者のうちのお一人(島の高校生役)の早退が決まっていたのですが、それまでのシーンの流れから「周りの登場人物に勧められて応募した芸能オーディションに合格して上京する」という奇跡のような展開で回収され、思わず拍手してしまいました。

そしていよいよラストシーン。


見事に(上演されない)物語は完結したのでした。
5時間で最終的にすべての人物が、「何をやってもその人にしか見えない状態」になっていたようでした。『登場人物と暮らす』という表題にも納得です。
正直なところ今までエチュードを観るのって好きじゃなかったのですが、最後まで飽きずに、いや、前のめりのままで観ていることができました。

エチュードに対して苦手意識があった方でも無理なく楽しく参加していただけて、それぞれにどこか演技の面白さを再発見していただけたのではないでしょうか。僕もちょっぴり登場人物になってみたいと思わされましたから(笑)
観客側にいた僕は、ただもう面白い演劇作品を観た後と同じ満足感に包まれておりました。(なお、過去には『架空の実験室』として劇場で一般公開されたこともあるそうです!)

ぜひ多くの人に観てほしい・参加してほしい企画でしたので、少しでもご興味のある方は今後の関係舎の活動もチェックしてみてください!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


そして!次回のカチコミはこちら!

次回の企画

10月に引き続いての俳優さん向けのワークショップ、ふだん知ることのできないワークショップオーディションの選考の過程を各回3名の演出家から聞けるという(おそらく)前例のない企画となっております。
詳細・お申し込みはこちらの記事をご覧ください!

それではまた来月、ココキタでお会いしましょう!!

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